チャットレディの仕事で得た収入について、確定申告している方もいれば、「それほど稼いでいないから」と、何も申告していない方もいるでしょう。
何も申告していな場合に注意したいのが、住民税の存在です。確定申告が不要であっても、所得額に応じて住民税が課税される可能性があります。
ここでは、チャットレディとしての収入に住民税が課税される方の特徴と、具体的な住民税の計算方法についてご紹介します。
1. チャットレディも住民税は課税されるの?
チャットレディとして活躍する方の中には、思ったほど稼げなかったなどの理由で、確定申告の必要性を感じていない方も多いでしょう。専門家の回答が得られるオンライン相談サービスでも、チャットレディの確定申告についての相談者は複数見られます。
確かに、会社員が副業としてチャットレディで年間20万円以下の収入を得た程度では、改めて確定申告をする必要はありません。給与所得のない専業主婦が在宅ワークの事業所得として計上するとしても、基礎控除で差し引かれる38万円を超える収入がなければ、確定申告は不要となります。
ただし、あくまで所得税についての申告が不要となるだけです。都道府県民税と市区町村民税、いわゆる住民税が課税される可能性はまだ残っています。
1-1.住民税が課税される対象
法人ではない個人が行う確定申告は、あくまで納付すべき所得税の額を確定するためのものです。
そのため、確定申告の必要がない方でも、住民税の申告は行わなければなりません。たとえば以下のような方は、住民税が課税される可能性があります。
・所得が低いため確定申告をしなかった
・専業主婦だがお小遣い稼ぎ程度にチャットレディをしている
特に、専業主婦で普段は給与所得がない方の場合、確定申告をしないために住民税の申告も忘れがちです。しかし、所得が20万円以下であっても、住民税の申告は必要であることはしっかり覚えておかなければなりません。
申告しても、前年の所得金額が少ない方や専業主婦・学生など所得がない方は、住民税が非課税となるケースもあります。専業主婦の方も、前年1月1日から12月31日までの間に所得がある場合は、金額の大きさに関わらず申告しましょう。
1-2.住民税の申告方法は?確定申告と住民税の申告
住民税は年末調整や確定申告を行っている方であれば、改めて申告せずとも、確定申告の内容で課税額が決められます。
しかし、専業主婦の方などは確定申告をしないケースもあり、その他の方法で住民税の算出に使われる所得額を申告しなければなりません。確定申告以外の申告手段として、「市民税及び県民税の申告書」を提出する方法があります。
市役所などで「市民税及び県民税の申告書」用紙をもらい、記入して提出するだけで申告完了です。
・税務署ではなく区市町村役所に届け出る
以上の2点に注意し、申告期限の3月15日までに提出しましょう。副業としてチャットレディをしている方は、納付方法を「普通徴収」にすると、自宅に通知が届くため、会社バレのリスクが減ります。
2. 住民税はいくらぐらい?自分で計算する方法
住民税の課税率は標準税率というものが適用されており、基本的にどのエリアに住んでいても大きな差はありません。しかし、まれに標準税率ではない税率が適用されている自治体もあり、住んでいる場所によっては住民税が高くなってしまいます。
ここからは、事前にいくらぐらいの住民税を支払うことになるのかを計算できるよう、住民税の仕組みと、具体的な計算方法をご紹介します。
2-1.住民税の種類
住民税は実は2つの税の総称で、都道府県が課す「都道府県税」と区市町村から課せられる「区市町村民税」を合わせたものです。法人にも法人住民税が課せられますが、ここではチャットレディ個人が納めるべき個人住民税に重点をおいて解説します。
住民税は、所得割と均等割の2種類を合算した額を支払います。
・均等割…所得に関係なく一定額で課せられる
前年にチャットレディとして、それほど稼いでいない方の場合、所得税のうち所得割のみが非課税となるケースがあります。
<所得割のみが非課税になる場合>
・扶養親族がいる…35万円×(扶養者数の合計人数+1)+32万円以下の所得が非課税
扶養者数は、控除対象配偶者も含んだ人数です。前年の所得金額が所定の額を超えない場合、所得割分の住民税は非課税とされます。そのため、チャットレディの収入だけが所得となる専業主婦などは、住民税が大幅に低くなります。
さらに、所得額によっては住民税自体が非課税対象となる可能性もあります。ただし、住民税を申告しなかったり滞納したりすると、滞納期間が2か月を超えた時点で延滞税率が大きく跳ね上がるため、注意が必要です。
所得が低くても必ず住民税の申告を行い、課税対象となった場合は早めに納付しましょう。
2-2.住民税の計算方法
支払う住民税の合計金額を知るためには、所得割額と均等割額それぞれを計算が必要です。
住民税の大部分を占めるのは所得割です。所得割は前年の総所得金額から所得控除額を引き、各自治体の税率を乗算した数字から税額控除額を引いた金額です。
<所得割の計算式>
所得割の金額=(前年の総所得金額-所得控除額)×税率-税額控除額
「前年の総所得金額」とは、収入から必要経費を差し引いた金額です。さらに社会保険料などの所得控除額を引いた額に、自治体の税率を乗算します。
住民税は2種あるため「都道府県税と区市町村民税を合算した税率」で計算します。たとえば大阪府大阪市の場合、府民税8%と市民税2%の合計である10%がかかる税率です。
最後に差し引く「税額控除額」は、課税される金額が200万円を超えるかどうかで大きく異なります。基本的には「所得税との人的控除額の差の合計」と「課税される金額」のどちらか金額の小さい方に5%を乗算した額ですが、200万円を超える場合、「課税される金額」は200万円を引いた額となります。「所得税との人的控除額の差の合計」とは、障碍者控除や扶養親族の控除などの控除額を合算したものです。
均等割は各自治体で定められた定額を納めるため、都道府県税と区市町村民税を合計するだけで算出できます。
専業主婦や会社に内緒で副業している方など、普通徴収での納付となっている方は、最終的な金額は、6月に税務署から届く税額通知書(納付書)で確認可能です。
会社の特別徴収分とまとめて納付することを選んでいる方は、5月ごろに勤務先へ送付される特別徴収税額の通知書を確認してください。
3. チャットレディの節税ポイントはココ!
最後に、チャットレディの仕事で所得税や住民税を節税するためにできる工夫についてご紹介します。せっかくチャットレディとして働くのであれば、少しでも手元にお金を多く残したいものです。
正しい税申告をすれば、支払う税金を最小限に抑えることできるのか、詳細を解説します。
3-1. チャットレディでも節税できるの?
所得税や住民税を節税するためには、所得金額を抑えなければなりません。そこで、収入から差し引く必要経費に着目しましょう。注意すべきは、チャットレディのお仕事の契約・収入の名目なのかという点です。
アルバイトやパートのように雇用契約が結ばれている場合は、給料としてお金が支払われます。給与には、給与所得控除(基礎控除65万円)が適用されるため、経費の計上が認められません。一方で、業務委託契約によって支払われる報酬は、事業所得もしくは雑所得となり、経費を計上することができます。
3-2. 節税には「経費で計上できるもの」がポイント
チャットレディの仕事に関係するもので、経費として認められる可能性の高いものは、以下のようなアイテムの購入費や光熱費などです。
・家賃(自宅など自身で用意した場合)
・パソコン・スマホ購入費
・パソコン周辺機の購入費
・WEBカメラの購入費
・コスプレ洋服代
光熱費や家賃は、自宅を使ったり、自身で家賃・光熱費を支払って事務所などの用意をした場合のみに計上できます。自宅の場合は全額ではなく、仕事で使用する割合に応じて按分した数%のみを確定申告書に記載します。パソコンやスマホも、仕事とプライベートの両方で使っている場合は、使用する割合で金額を計算しなければなりません。
また、チャットレディとしての年収が少ないうちは白色申告で問題ありませんが、高い収入を得ている方がより節税効果を狙うときは、開業届を提出して事業所得の控除がある青色申告に切り替えて対応するのもおすすめです。
まとめ
専業主婦や会社員の副業としてチャットレディの仕事を行っている場合、金額によっては確定申告の必要性を感じない方もいるのではないでしょうか。しかし、確定申告の必要がなくとも、住民税の申告が必要となる場合があります。
本業の会社で年末調整をしていても、チャットレディとしての収入は源泉徴収されておらず、自分自身で申告・納税しなければなりません。
不安な方は代理店と提携している税理士やスタッフに相談してみるといいでしょう。
今回ご紹介したように必要経費を計上して所得金額を抑えることで節税はできるため、延滞金などのペナルティが発生しないよう、期間内に早めに住民税の申告をしましょう。